一般社団法人

日本詩人クラブ

English

「新しい詩の声」

「新しい詩の声」2019(第3回)

作品募集

応募資格:日本詩人クラブ会員以外の方
参加費:1,000円
原稿締切日:2019年2月末日
選考の上、「新しい詩の声」賞(1篇)賞金3万円+表彰状、奨励賞(2〜3篇)賞金1万円+表彰状。贈呈式は2019年秋を予定。 詳しくはチラシをご覧ください。

「新しい詩の声」2018(第2回)

各賞決定

最優秀賞:岡本直美「ひとつ」
優秀賞:福本恵子「おにのかぞえかた」、三好郁子「熊」、山田裕樹「ふるさと」(50音順)

選考経過報告

 2018年4月26日、天野英・佐相憲一・塩野とみ子・鈴切幸子・曽我貢誠・長尾雅樹・原詩夏至(50音順)による選考委員会が開かれた。全国139名もの応募があり、関心の高さがうかがわれた。
 選考委員会は次の最終候補二八作を選んだ。池田久雄・市川恵子・岡本直美・柏井萌美・加藤桂・久保俊彦・高裕香・後藤順・後藤光治・坂木昌子・佐藤里・三宮昭一・志村奏・城沢惠子・タナカジュリ・田中淳一・田村全子・都筑里絵・鳥山守貞・ひおきとしこ・福本恵子・堀川央・三ツ谷直子・南雲和代・三好郁子・目加田ハルイチ・山田裕樹・和田憲政。ほかにも光る作品が多々寄せられ、選考委員たちを悩ませた。
 その前の段階で、詩誌掲載発覚により未発表作の応募規定に反する作品が1名、規定行数を超える作品が1名、選考対象から外された。力作だけに違反が残念だが、公的な賞として応募規定順守に徹したい。
 28作から選考委員の投票により13作を選び、各詩篇についてのプラス評価を出し合って鑑賞した。それをふまえてさらに投票を行い、7作までしぼった。最後に各詩篇のマイナス評価も出し合い、プラスの反論も出されて、白熱した討論が展開された。結果、最優秀賞は岡本直美「ひとつ」、優秀賞は順位なしで三名、福本恵子「おにのかぞえかた」、三好郁子「熊」、山田裕樹「ふるさと」(50音順)と決定した。
岡本直美「ひとつ」は、大切な人を亡くした後の〈空〉のない〈天〉に語りかけながら、繊細な心の襞を丁寧な詩句で綴り、喪失感からやがて〈空を取り戻しに行こうかと思う/私にはまだ明日の空が必要だと思った〉という新たな境地へ深まっていく過程が語られる。大きな生命自然の中にいる感覚を手放さないことで、亡くした存在への愛と悲しみがうねるような中に抱きとめられて癒やされ、明日へ向かう。しぼられたテーマと語りの詩情、その全体に、最終段階の選考は全員一致でこの作品を最優秀とした。
福本恵子「おにのかぞえかた」は、ひらがなのみでやさしく綴られながら、鋭い思想性を内包している。〈まめのつぶてをうけて/そとへ そとへ/おわれ〉る鬼の存在は、群集のみならず鬼自身にとっても〈いっぴきか/いっとうか〉わからないが、ぶつけられたものを跳ね返す中で〈ひとり〉の人間であることを自覚する。さまざまな社会状況の〈鬼〉を想像させながら、かなしみとたくましさを感じさせる秀作だ。
 三好郁子「熊」は、水死した〈達ちゃん〉の形見となった〈熊〉を見つめるレクイエムの物語。水瓶をめぐる儀式の中に、作者の達っちゃんを想う心がイメージ豊かに展開される。おとぎ話や昔話の世界にも通じるやさしい語りが魅力だ。万感の想いを抑制のきいた抒情で物語るこの詩を書くまでには喪の歳月が必要だったに違いない。さびしさの中に故人と熊の存在感が刻印された秀作だ。
山田裕樹「ふるさと」は、独特の映像的な面白みの中に現代性が光る。偽物に溢れて実体感の希薄な状況のもとで見向きもされない存在を我れとして生死を見つめる。モノクロから終連劇的にカラーになる鮮烈さで、湯気と緑色の三つ葉に〈ふるさと〉を見出す。悲惨でひずんだ感じもありながらあっけらかんとしていて明るいものさえ読後に感じさせる。現代詩の技術をもった才能だ。
 以上、報告を終えるにあたって、多様な作品と多様な評価基準が実感されたことをお伝えする。(文責・佐相憲一)

選考委員

天野英・佐相憲一・塩野とみ子・鈴切幸子・曽我貢誠・長尾雅樹・原詩夏至

選考日

2018年4月26日(木)

発表

ホームページ、詩界通信83号(6月30日発行)など。

授賞式

11月例会にて、場所は未定

募集要項

受賞作品

2018年(第2回)

2017年(第1回)