一般社団法人

日本詩人クラブ

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「新しい詩の声」

「新しい詩の声」2019(第3回)

第3回「新しい詩の声」受賞者決定

最優秀賞:伊藤凪菜「最果ての漁師」、中田野絵美「窓の外の反逆」。
優秀賞:加勢健一「うその花束」、君嶋復活祭「君が人間じゃなければよかった」。
受賞作品集
贈呈式は2019年秋を予定しています。

〈作品応募と選考の概要〉

日本詩人クラブは、昨年度の実績を受けて今回も第3回「新しい詩の声」の継続実施を行った。この活動は、日本全国の幅広い方々と作品公募を通して日本に於ける詩文化の普及と発展に寄与したいという意志と希望により行うものである。作品募集は日本詩人クラブの会員ではない人を対象として行い(会友の応募は可としている。)応募作品の中から優秀賞を4ないし5篇を選考の上決定する。選考で選ばれた作者には優秀賞としての賞状・賞金が授与される。作品公募と受賞式までの一連の内容と経緯は、詩界通信と日本詩人クラブのホームページに掲載される。
第3回「新しい詩の声」に応募された方は、126人(内1名が辞退)。応募者は、北は北海道、南は沖縄県までの幅広い地域からの応募であった。男女別では男性60人。女性65人。応募された方の年齢を見ると14歳から78歳までとなっており。14歳という若年者の投稿には驚いたが、10歳代の投稿者数が18名あったことと、それら若い世代の参加者が、詩の表現を心得た作品を書かれていることにも感心させられ、この事業の計画実行のメンバーとしての悦びも共有させて戴いた。
優秀賞受賞者には、今後受賞式の日取りが決定される。参加者全員に対して、寸評の通知をすることと、「フォローアップセミナー」も計画している。(文責・天野英)

〈選考経過報告〉

第3回「新しい詩の声」選考会が2018年4月24日㈬午後2時より開かれた。選考委員は天野英・石下典子・佐相憲一・曽我貢誠・谷口典子・長尾雅樹・原詩夏至の7名。応募作全126篇のうち作者より取り消しのあった1篇を除く125篇の中から各委員が最終選考候補作を5篇ずつ持ち寄った。選ばれたのは次の28篇だった――あおい満月「森のなみだ」、蒼樹ほのお「病を負うということは」、青山勇樹「華やかな逡巡」、網野秋「ひと時の思春期返り」、謝野真結「ひひる」、家端とも女「ひとつ成層圏の下」、伊藤凪菜「最果ての漁師」、岡田美幸「言葉の泉」、忍野木菟「ミミズクの空」、賀賀ひかる「月が恋しくなる理由」、柏井萌美「彼女のソネット」、加勢健一「うその花束」、君嶋復活祭「君が人間じゃなければよかった」、桐木平十詩子「飛ぶ魂」、黒川隆介「他人」、坂木昌子「しばり」、笹村ようこ「窓の外のトナカイ」、白雪「さくら」、田中知織「終末沼」、灯火ほたる「みえない友だち」、戸田和樹「幕切れ」、中嶋規美子「秋の夜は」、中田野絵美「窓の外の反逆」、南雲和代「生き延びよ」、久下まつ子「to meet me」、睦月夏「太陽」、杠ゼン「水子」、渡辺彰「その景色において」(敬称略・50音順。以下同じ)。この時点で尚、最年少14歳・最年長76歳、男性8名・女性20名という多彩な顔ぶれであり、テーマも思春期の鋭い自意識から老境の感慨、恋愛や四季の移ろいから深刻な社会問題までと幅広く、そこから先の選考は難航を極めたがまた手応えも大きかった。各委員はまず自分の選んだ5篇について推挙の弁を述べた後、この28篇の中から投票により更に各3篇の推薦作を選んだ。そして1票以上を獲得した13篇の中から、まず2名以上の支持を得た4篇、及び残りの9篇から再投票によって選んだ4篇、計8篇に最優秀賞及び優秀賞の候補を絞り込んだ。伊藤凪菜、賀賀ひかる、加勢健一、君嶋復活祭、笹村ようこ、中田野絵美、久下つま子、杠ゼンの各氏だ。委員はこれらの詩をまず朗読を通して耳で吟味した。そして一人ずつ各篇についてその長所と問題点を述べ合った。その結果「優秀賞以上確定」として最後に残ったのが伊藤、加勢、君嶋、中田の4氏の作だったが、そのうちどれを最優秀賞とするかについては最後まで意見が分かれた。白熱した議論の末、辛うじて伊藤・中田両氏を残し決選投票を行ったが、結果は伊藤氏支持と中田氏支持が各2票、「甲乙つけがたし」が3票。これはもう「天の声」だった。委員会は両氏の最優秀賞同時受賞を決定した。
 伊藤凪菜「最果ての漁師」。老いた漁師の元に息子が帰ってきた。しかしさっぱり頼りにならない。それでも帰ってくれたことの嬉しさ。そんな親心が独白調で丹念に綴られる。その温かくも確かな視線。
 中田野絵美「窓の外の反逆」。窓の外で繰り広げられる「支配階級」と「反逆者」の闘い。一方、室内でもそれを巡る「君」と「私」の葛藤が。火花を散らす潔癖な感受性。その痛ましくも若々しい立ち姿。
 加勢健一「うその花束」。子供の目線で綴る親からの虐待。一見童話調の語り口に深い悲しみが滲む。
 君嶋復活祭「君が人間じゃなければよかった」。些細なことから恋人と喧嘩してしまった「僕」のやり場のない切なさが幻視させる「遠い星の王位継承者」としての「君」。その圧倒的な熱量が魅力だった。(文責・原詩夏至)

第3回「新しい詩の声」選考日程・選考委員

選考委員会:4月24日(水)
選考委員:天野英・石下典子・佐相憲一・曽我貢誠・谷口典子・長尾雅樹・原詩夏至(50音順)

第3回「新しい詩の声」作品募集は締め切りました

第3回「新しい詩の声」作品募集は2019年2月末日にて締め切りました。
応募者は125名でした。たくさんのご応募ありがとうございました。

作品募集

応募資格:日本詩人クラブ会員以外の方
参加費:1,000円
原稿締切日:2019年2月末日
選考の上、「新しい詩の声」賞(1篇)賞金3万円+表彰状、奨励賞(2〜3篇)賞金1万円+表彰状。贈呈式は2019年秋を予定。 詳しくはチラシをご覧ください。

「新しい詩の声」2018(第2回)

各賞決定

最優秀賞:岡本直美「ひとつ」
優秀賞:福本恵子「おにのかぞえかた」、三好郁子「熊」、山田裕樹「ふるさと」(50音順)

選考経過報告

 2018年4月26日、天野英・佐相憲一・塩野とみ子・鈴切幸子・曽我貢誠・長尾雅樹・原詩夏至(50音順)による選考委員会が開かれた。全国139名もの応募があり、関心の高さがうかがわれた。
 選考委員会は次の最終候補二八作を選んだ。池田久雄・市川恵子・岡本直美・柏井萌美・加藤桂・久保俊彦・高裕香・後藤順・後藤光治・坂木昌子・佐藤里・三宮昭一・志村奏・城沢惠子・タナカジュリ・田中淳一・田村全子・都筑里絵・鳥山守貞・ひおきとしこ・福本恵子・堀川央・三ツ谷直子・南雲和代・三好郁子・目加田ハルイチ・山田裕樹・和田憲政。ほかにも光る作品が多々寄せられ、選考委員たちを悩ませた。
 その前の段階で、詩誌掲載発覚により未発表作の応募規定に反する作品が1名、規定行数を超える作品が1名、選考対象から外された。力作だけに違反が残念だが、公的な賞として応募規定順守に徹したい。
 28作から選考委員の投票により13作を選び、各詩篇についてのプラス評価を出し合って鑑賞した。それをふまえてさらに投票を行い、7作までしぼった。最後に各詩篇のマイナス評価も出し合い、プラスの反論も出されて、白熱した討論が展開された。結果、最優秀賞は岡本直美「ひとつ」、優秀賞は順位なしで三名、福本恵子「おにのかぞえかた」、三好郁子「熊」、山田裕樹「ふるさと」(50音順)と決定した。
岡本直美「ひとつ」は、大切な人を亡くした後の〈空〉のない〈天〉に語りかけながら、繊細な心の襞を丁寧な詩句で綴り、喪失感からやがて〈空を取り戻しに行こうかと思う/私にはまだ明日の空が必要だと思った〉という新たな境地へ深まっていく過程が語られる。大きな生命自然の中にいる感覚を手放さないことで、亡くした存在への愛と悲しみがうねるような中に抱きとめられて癒やされ、明日へ向かう。しぼられたテーマと語りの詩情、その全体に、最終段階の選考は全員一致でこの作品を最優秀とした。
福本恵子「おにのかぞえかた」は、ひらがなのみでやさしく綴られながら、鋭い思想性を内包している。〈まめのつぶてをうけて/そとへ そとへ/おわれ〉る鬼の存在は、群集のみならず鬼自身にとっても〈いっぴきか/いっとうか〉わからないが、ぶつけられたものを跳ね返す中で〈ひとり〉の人間であることを自覚する。さまざまな社会状況の〈鬼〉を想像させながら、かなしみとたくましさを感じさせる秀作だ。
 三好郁子「熊」は、水死した〈達ちゃん〉の形見となった〈熊〉を見つめるレクイエムの物語。水瓶をめぐる儀式の中に、作者の達っちゃんを想う心がイメージ豊かに展開される。おとぎ話や昔話の世界にも通じるやさしい語りが魅力だ。万感の想いを抑制のきいた抒情で物語るこの詩を書くまでには喪の歳月が必要だったに違いない。さびしさの中に故人と熊の存在感が刻印された秀作だ。
山田裕樹「ふるさと」は、独特の映像的な面白みの中に現代性が光る。偽物に溢れて実体感の希薄な状況のもとで見向きもされない存在を我れとして生死を見つめる。モノクロから終連劇的にカラーになる鮮烈さで、湯気と緑色の三つ葉に〈ふるさと〉を見出す。悲惨でひずんだ感じもありながらあっけらかんとしていて明るいものさえ読後に感じさせる。現代詩の技術をもった才能だ。
 以上、報告を終えるにあたって、多様な作品と多様な評価基準が実感されたことをお伝えする。(文責・佐相憲一)

選考委員

天野英・佐相憲一・塩野とみ子・鈴切幸子・曽我貢誠・長尾雅樹・原詩夏至

選考日

2018年4月26日(木)

発表

ホームページ、詩界通信83号(6月30日発行)など。

授賞式

11月例会にて
日時:2018年11月10日㈯14時〜17時、会場:早稲田奉仕園・リバティホール、会費500円(会員・会友も)。

募集要項

受賞作品

2019年(第3回)

2018年(第2回)

2017年(第1回)